緑内障にサフランが効く!?

 40歳代の日本人の約5%が掛かり、失明する原因の第1位の目の病気に緑内障があります。緑内障は、眼圧(眼球内を満たしている眼内液の圧力)が上がり、目の奥の視神経が圧迫されて傷められて視野障害が起こるという病気です。見えない場所(暗点)が出たり見える範囲(視野)が狭くなったりします。

 緑内障の進行を抑えるためには眼圧を下げる必要があり、眼圧を下げる目薬が処方されるのが一般的です。眼圧を下げる飲み薬もあるようですが「全身の副作用が強く出ることがあり、内服できない場合もあります」(日本眼科学会のウェブサイトによる)。

 緑内障の原因は、まだはっきりと分かっていませんが、酸化ストレスが原因の一つである可能性が指摘され、抗酸化物質が緑内障の予防や治療に役立つかもしれないと考えられています。
 抗酸化作用の高い食品の一つであるサフランを飲むと眼圧を下げられるという論文をイランの研究者グループが2014年、英国BMC Complementary and Alternative Medicine誌に発表しました。

 実験では、緑内障治療で一般的な点眼薬を使用している緑内障患者34名を2つのグループに分けて、片方のグループには1日30mg(0.03g)のサフランをカプセルに入れて口から摂取させ、もう片方のグループには偽薬を飲ませました。実験は1カ月間続けられ、その後1カ月の休薬期間が設けられました。両グループとも実験期間中も目薬を使用していました。

 実験の結果、偽薬組に大きな変化がなかったのに対して、サフラン組は眼圧が、3週間後に平均2.6mmHg、4週間後に平均3.3mmHg低くなりました。サフランの服用による副作用はなかったと報告されています。

サフランの服用で眼圧が下がった。
眼圧の変化

 眼圧の低下は、サフランに含まれるクロシンとクロセチンの抗酸化作用による可能性があると研究グループは考えています。
 この実験は被験者数が34名と少なく、また実験期間も1カ月と短いので、今後さらに多くの研究結果が発表されることを期待したいところです。

この論文(英文)は下記のURLにアクセスして読むことができます。

 

The ocular hypotensive effect of saffron extract in primary open angle glaucoma: a pilot study

http://bmccomplementalternmed.biomedcentral.com/articles/10.1186/1472-6882-14-399